2005 NBA ALL STAR GAME @ Denver, CO

中学校のマラソン大会。ヤンキーグループ(特に女)は決まって「かったるいから、適当に皆で走ろうよ」と一致団結する。しかし、ほとんどのケースでゴールの一歩手前あたりで誰かがちょっと前に出て、確実に順位付けが行われる。中々言葉にはできないが、とても微妙な空気が流れる一瞬なのだろう。それに似たような出来事を世界中で見る事ができるのが、NBAオールスターゲームだろう。誰もこういう話をしないのは、暗黙の了解の上なのかもしれないが、今年は、そんなお祭りの雰囲気をいち早くぶっ壊し、勝負をかけたアイバーソン率いるイーストが4年ぶりに栄冠を勝ち取った。NBAでは、この現象を西から東へのパワーシフトと読んでいるが、結局のところ、NBAにおけるシャキールオニールの存在感が、それだけ大きいという事なのではないか?パワー=シャキール

基本的に、誰も真剣にディフェンスをしないなかでの素晴らしいプレーは、去年のアメリカのオリンピックでの惨敗(勝ちに繋がらないスラムダンクがどれだけ無意味な事か)を見る以前から、あまり興味がなかったわけだけど、今年もそれなりに見所はあった。

1st クォーター:

通常通り、「みんなお祭りなんだから、楽しくやろうぜぇー」みたいな雰囲気の中、ゲームは始まる。踊りと音楽で派手な演出がされている中、さすがにクールな大スター達は、真剣には空気を読んでなれないらしい。そんな中、交替で入ったナッシュのオフェンス/ディフェンスでの必死さと、同じくらい目立った空回りぶりが面白い。ナッシュ→マリオン、ナッシュ→スタッドマイヤーのホットラインオフェンスは、良かったが、それ以上にディフェンスのなさが目立つと取る事もできる。特にそれ以外は何もないダラダラした時間が流れる。

2nd クォーター:

ウェード、Arenas、ジノビリのハッスルが目立つ。メーンのスターがクールぶっている中での、セカンドクラスプレーヤーのハッスルは、ある意味「空気読めよ」的な意味合いが強いわけだが、一応、それもオフェンスだけで、メーンのスターのオフェンスを邪魔するような事はない。

しかし、そんなお祭りの空気を予告無しにぶち壊したのが、アレン・アイバーソン。ジノビリがファウルでとめた一対一は、とても早く、見ごたえがあった。その後もアイバーソンは、激しい一対一をしかけながら、イーストをリードする。明らかにイーストのゲームが変わる。ウェストがうっかりしている間に、イーストは得点さを広げる。残り3分の辺りでT-OUT。その後、天性の負けず嫌いが触発されたコービーの本気のプレーは、見ていて気持ちがよく、この時間帯が、このゲームで最も面白い展開。基本的には、アイバーソンのアップテンポなリズムでオフェンスをするイースト対コービーの闘志で持ちこたえるウェストという構図。カーターの一人アリウープスラムダンクはこの時間帯に炸裂したが、「エンターテイメント性の高いダンクに喜ぶNBAファン」を冷めた目で見ている自称バスケ通にとっても、これは鳥肌物の一発だった。


3rd クォーター:

見る必要なし。ビデオでとってある人は、時間の無駄なので飛ばしましょう。

4th クォーター:

これまで、アイバーソンの伝わりやすい熱いハートの影響で、注目のチャンスを逃していたレブロン・ジェームズ、結構本気でプレーしているようである。速攻等でのドリブル突破(周りも走っている中での)が気持ちよい。それに対するウェストは、とても単発なオフェンスでつまらない。

2本のスリーポイントを決めたコービーは、通算3pT数NBAオールスター歴代1位タイ(もう一人は誰だか忘れた)。

残り5分で、イーストは勝負を決めるメンバーでのぞむ。まけづ嫌いのコービーは、ディフェンスでは勝負を挑むアイバーソンとがちんこの一対一、とにかく、この二人のマッチアップは熱く、コービーはオールスターなのに5ファウルをもらう。オフェンスでも激しい攻撃をしたいようだが、ウェストのほかのメンバーがついてこない。何となく、モチベーション下がるだろうなぁと思った。このまま試合は終わり、イーストが久しぶりの勝利。そうそう。T-MACも、一人アリウープスラムダンクを挑んだが、角度が悪く不発。

まとめ:

アレン・アイバーソンがMVP:「バスケは高さや強さでやるものではなく、ハートでやるものだ」という彼の言葉を解説者は何度か繰り返していたが、今日の試合を見ていると、何故彼がこれほどまでに人気なのかが分かった。お祭りのはずのゲームで、誰よりも先に火を吐く。彼の激しいタトゥーは、彼の内面を上手く表現していると思われた。とにかく役者が違います。

コービー・ブライアンは準MVP:ブーイングを受けていたのは仕方がないが、もし、MVPに次ぐ賞があるのならば、観客を楽しましたという意味で、コービーのプロフェッショナリズムは高いものだといえる。シャックが抜けてコービーも駄目だと思われたが、シャックが抜けた事で初めて、コービーの本当の実力が引き出されている事は間違いないだろう。今後がとても楽しみ

やっぱりシャキールが一番:結局のところ、シャキール・オニールほどチームの勝敗に影響のあるプレーヤーはいないという事でしょう。最近では、年寄りじみた発言を繰り返してはいるものの、モースト・ドミナント・プレーヤーである事は間違いない。シャックに完全に押さえ込まれる中で、ヤオミンをトップに選出した中国からの大量がかなり痛い。

レブロン・ジェームズ才能はすばらしいし、人気もナイキの期待もとても大きいのかもしれないが、オールスターを見る限りにおいては、アイバーソンのスター性のの前では、あまりにもインパクトが欠けていた。かなり良い活躍だったので、アイバーソンあいなければ、もっと目だっていたでしょう。


グラン・ヒル怪我をしなければという話はしても仕方ないが、人間性というのは、ファンの心をつかんで離さないんだなぁとしみじみ。


ナッシュ+ARENA+ジノビリ:ハッスルする時は、空回りしないように頑張りましょう。

シューズ:

今年のオールスターのシューズは、レイ・アレンが履いていたAir Jordan20の特別カラーと、ナッシュのZoom Driveの特別カラー以外はこれといって目立たなかった。特に去年に続くアディダスの躍進を期待していたのだが、KG、ダンカン、T-MACと、昨年のASカラーの不発から学んだのか、サッパリ。廉価モデルのGDL(AREANA着用?)以外は、特に目がいかなかった。